空から 水の星が落ちてきて
海と陸が一緒になった その時に
海にも陸にもたくさんあふれ住んでいた 大きな体の
牙ある者たちは みんな眠りにつきました
なぜなら 星が落ちて起こした地の揺れは
たいそう大地を驚かせ 山の多くが血を流し
灰色吐息を出し続け 長い愚痴となったからです
山々の呻きと愚痴のそのせいで 寒い冬が訪れました
それまで知らない 暗く寒い冬
牙ある者たちは冬の仲間を持たないために
風と大地の精にさとされて
みんな眠りにつきました
今から6500万年前のお話・・
メタセコイア族も 星が落ちたそのときに いきなり起きた 大風で
たくさんほとんど倒されて
わずかに残った者たちで 小さな群れに 暮らします
けれども やっぱり困ったことに 寒くて寒くて どうしても
そのまま眠りにつくものが 星の数ほどありました
メタセコイアの母さんは たいそう悲しみ
こんな唄をうたいました
わたしが どれだけ たくさんの
命の種を 宿しても
みんな眠ってしまうだけ
起きてくる子が もういない
小さな私の赤ちゃんは
春のひざしの暖かな
あのひだまりまでは 待てないの
風に乗って唄は流れます
風が空高く舞い上がると 雲の精がその唄を聞きました
優しい雲の精は 悲しんで
しずくを落として 泣きました
しずくは寒い空を降りていくと
想い想いに形に変えて ゆっくりと地面に
おりました
たくさんたくさんおりました
すると しずくは雪となり
メタセコイアの赤ちゃん種を
優しくそっと包みます
冬の仲間がつくられて
こうしてメタセコイアの命の種は
春がめぐって来るまでは
雪の中で休みます
春の陽ざしが森を笑顔に変える時
赤ちゃん種は目を覚まし
ぐんぐん芽を出し
すぐに元気に育ちます
雪の布団に守られて
メタセコイアは 少しづつ
大きな森を 作れるように なりました
さて
ところで
その頃の 人の祖先のお話です
大きな牙ある者たちが ほとんど去った世界には
人の祖先も 住みました
モグラネズミのようなかっこうで 木の上高く生き延びて
サルの祖先でもありました
メタセコイアは その後 6400万年間
今から100万年前にまた大きな星が落ちてくるまで
仲間を増やし
人の祖先が 次々に 姿を変えてゆく
不思議な様を
奇跡の変化を 見ています